その537 玉手箱 2023.11.9

2023/11/09

 音楽の玉手箱という演奏会を聴きました。
音楽を専攻する高校生、大学生からプロとして活躍する演奏家まで、幅広い出演者で、
楽器もピアノ、トロンボーン、クラリネット、声楽・合唱とバラエティいっぱいでした。
聴衆は皆さん出演者のお知り合いか関係者のようで、開場の時からとても暖かい雰囲気でした。
 
 ピアノについて感想を少し。
リストの難曲マゼッパを弾かれた若い方。
合唱の次の出番で、実質的なトップバッター。ちょっと緊張されましたでしょうか。
安定して曲を支えた左手が印象的でした。また次の機会にお聴きしたいです。
 
 グラナドスのアレグロを弾かれた方。とてもよく回る指ですね。
音の粒立ちがよくグラナドスらしい、
アリシア・デ・ラローチャのピアノを思わせるカラッとした良い演奏でした。
もう一つ突き抜けるような右手のフォルテが聴ければ、と思いました。
 
 演奏会の最後はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲で、
ヴァイオリン・パートを作曲者自身がフルート用に編曲したもの。
圧巻の演奏でした。
最初のゆるゆると始まるピアノの出だしはとても滑らかで、
なんだかすごいことになりそう、とゾクッとしました。
フルート、チェロも十分にパッションの入った演奏で、
ああ、もっともっと聴いていたい、と思ったことでした。
演奏が終わった後、一瞬の静寂があって客席がザワッとします。
すごいね、スゲー、さすが、なんていう吐息が飛び交っているようで、
その後大きな拍手が沸き起こります。
感動しました。いいものを聴かせていただきました。
 
浦島太郎が開けた玉手箱。
何が入っているかは開けてのお楽しみ。
そして高校生や大学生たちが、これからどんなに成長するか楽しみな玉手箱でした。